『用水と廃水』2026年2月号、3月号、6月号の水道広域化に関する論文がそれぞれ掲載された。2月号は広域化全体の状況、3月号は各地の状況のうち、県内で一元的広域化を進めている香川県、広島県、奈良県の状況、6月号は岩手県、青森県、大阪府、山口県の広域化の状況について考察した。
なお、最新の6月号のまとめは以下のとおり。
本稿では,広域化を進めている都道府県のうち,岩手県,青森県,大阪府,山口県の状況について述べた。それぞれの県で,広域化の効果が出ているが,共通していることは,技術職員の増加による技術水準の向上,施設の統廃合による施設の効率的運用,水道料金上昇の抑制等である。
水道事業に関する諸問題は,もはや「待ったなし」の危機的状況にある。令和6年能登半島地震では水道施設にも大きな被害が出たが,今後万一,東南海の大規模地震や首都直下地震が発生しても,人の命をつなぐ水だけは最低限確保する必要がある。広域化を進めるにあたり,自治体内や地域住民との意見の食い違いはさらに話し合いをすすめて早く解消しないといけないと考える。
岩手中部水道企業団のように,現場の職員によるボトムアップで実現した広域化の先進事例がある。また,八戸圏水道企業団のように,県をまたぐ広域化が可能な場合もある。岩手県や山口県では,広域連携シュミレーションを実施し,広域化の効果や課題を明確化している。山口県では,セグメント会計を採用し,透明性を向上さるとしたことが特徴として挙げられる。大阪府では将来像の実現度を測るためにKGI,KPIを設定したことが特徴である。これらの事例も参考にすると良いと考える。
なお,前稿で述べた奈良県,広島県と本稿で述べた大阪府の広域化の例では,それぞれの府県での最大都市である奈良市・広島市・大阪市は広域化には不参加である。それらの中心都市では人口密度が高いため,ユーザー一人あたりの経費負担が少なく,事業統合で負担が増えてしまうことが懸念される。不参加の最大の理由と目されているのは,“住民の支持が得られない”ことにある。なぜ支持が得られないのかといえば,事業統合で費用の負担が増えてしまうと考えられているからである。

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